第六説 前編ラキがこれから先のことを話し始めようとしたとき、水草先生が止めた。「ちょーーっとまった!なんでここに、剣ちゃんと村雨くんがいるの?2人は関係ないでしょ。」 関係ないといわれて、村雨は少しムッとする。 「そんなことはないぜ、先生。あんたらの正体を知っちまったんだ。関係ないとも言い切れねぇぜ。」 「あっ!そっか!ラキ君、話進めていいわ。」 「あっ!そうっすか・・・。」 ラキが皆に仲間になってくれるように話をした。その際、今回ラキ自身、猫無、幽海、雪が襲われたように、いつ命を落とすかわからない旅の危険性などの話をした。 「・・・以上だ。それでもいいって奴は、このバカでけぇ家から出てきてくれ。時間は10分以内だ。おれと猫無は外で、おまえらのこと待ってるから。」 ラキは長い廊下を歩き始める。1人で。 「おいコラ、猫無。てめぇはこっちだろ!!」 「へっ?」 「いいから来い!!」 ラキが猫無の後ろ襟を掴み、猫無を引きずり歩き出した。 「いやだぁ~!!死にたくねぇ~!!!」 「うるせぇ!!」 ラキの姿は見えなくなり、皆は本気で悩み始める。ところがすぐ動き出した人が1人だけいた。村雨だ。そのときは皆、帰るのかと思っていた。なぜなら、剣道ができる剣ならば少しは戦力になるが、村雨はなにもやってはいないはずだ。会うのがこれが最後かもしれないと思った幽海は村雨に声をかけた。 「むらさん。じゃあね。」 「はっ?おまえはこねぇのか?」 「「「「「「「・・・おまえは!!!!!?」」」」」」」 「なに、みんな驚いてんだよ。おれは行くぞ。こんな楽しそうなことねぇだろ?」 村雨は母樹邸の玄関に向かって走り出した。皆は止めることができなかった。むしろ、村雨のその行動で、決心が固まり、皆が同時に立ち上がった。母樹と澤開を除いて。澤開の場合は単に母樹が立たなかったから。あくまでもご主人に仕えるお手伝い。 「死んでしまうのかもしれないのですよ!!?」 皆が立ち止まり、代表して幽海が話し始めた。 「うん。そうだね。」 「怖くないのですかぁ?」 「怖いよ。けど、ぼくはくうがいっしょならいいもん。」 水草先生は幽海の頭をなでる。 「幽海君いいこといった!私はのどかに付いていくだけよ。」 のどかは顔を真っ赤にしながら話し始めた。 「わ!私は!!猫無・・・」 「私は村雨といっしょだよ!!楽しそうじゃん!」 剣がのどかが話している途中に割り込む。雪も続いた。 「おれは死ぬ気がねぇからな。しかも、いずれはおれと幽海も旅にでるつもりだったし、いいタイミングなんだよ。ラキといっしょってのは気にくわねぇけど・・・。」 水草先生が雪の頭もなでる。すると雪が顔を赤くし、水草先生から離れた。 「えらい!そんなにラキ君のことが好きなのね・・・」 「い、い、いつそんなこと言いました!!!!?」 「ん?まぁいいからいいから。」 「よくないです!!!!!」 皆の決意を前に澤開が立ち上り、母樹を背負う。 「なにをする!!主人に逆らっていいと思っているのか!!!クビにするぞ!!!」 その言葉にも澤開は笑顔で対応する。 「どうぞ。私はもともと母樹様のペットですから。では皆様、いきましょう。」 「「「「「はい!!」」」」」 澤開の一言で歩き始めた。 「降ろせぇぇ!!」 のどかが剣に母樹を納得させるように頼み、のどかはとりあえずお願いをしてみた。 「いっしょに来てください。お願いします。」 「もちろん行きます。」 母樹は納得し、澤開の背から降り、歩く。 外ではラキが本当に来てくれるのか心配し、取り乱している。 「あぁ~来るかなぁぁぁぁ、死ぬなんて言っちゃったしなぁぁぁぁぁぁ、来なかったらどうしよぉぉぉぉ」 猫無はお菓子を摘みながら、軽い気持ちでラキの様子を見ていた。 「まぁ、取り乱すなって。1組くらいくんだろ。」 猫無が母樹邸の庭を見る。 「ほら!誰かわかんねぇけど来たよ。」 「えっ!?ホントか!!?」 そのラキと猫無の目線の先には、村雨がいた。ラキは肩を落とす。 「どうしたのさ?ラキ。」 「来てくれたのはありがたいんだけどさ、村雨じゃ、戦力にならないような・・・」 「じゃあ、断れば。」 「ああ・・・」 ラキが村雨に言う決意をする前に、村雨が猫無とラキの元へ着いた。 「おれ、行きたいんだけどだめか?」 猫無がラキに目で訴える。しかし、ラキがとてもいやそうな顔をした。そんな顔をしたラキに猫無は近づき、村雨に背中を向け、説得にはいる。 「はやくしろよ!」 「やっぱりせっかく来てくれたんだし、いっしょに・・・」 「別におれはいいけど、ラキがおれと村雨も守ることになるだけだしね。」 「それはめんどくさい。」 猫無とラキが村雨に聞こえない程度の声で説得した。ラキは決心をする。ラキが村雨に戦力外を伝えようとしたとき、村雨が先に2人にあることを伝えた。 「あっ!!1つ言い忘れてたけど、おれ、子供のころから少林拳習ってんだ。足を引っ張ることはねぇぜ。」 実は村雨は2歳の時から本格的な少林拳を習っており、今現在も通っている。 ちなみに、村雨が通っている少林拳の道場は秘密。生徒、保護者以外はその場所を知らない。もちろん、他者には言ってはいけない。いつも途中でいなくなるのは、学校から直接通っているからで、猫無、ラキと紅炎との戦いを見たのは少林拳道場の帰り。以上のことから考えると、道場の場所は絞られてくるが、決して突きとめようとしてはいけない。なぜなら、暗殺されてしまうからだ。と村雨は語る。 猫無は村雨の手を握った。 「まじ!!?ぜひ、いっしょに来てくれ!!期待してるぞ!!!」 猫無は自分を守ってくれさえすれば誰が来ても、来なくてもいいのだ。 「おう!よろしくな。」 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|